入社後に配属されたのは餓狼チーム。
その経験は今も自身の中でかけがえのないものになっています。

　SNKの特色のひとつは、ユーザー暦の長いファンの方が多いということ。国内だけではなく、最近は海外のあらゆる国の方からも「子供のときからネオジオが大好きだった」というお声を頂戴する機会が増えました。私たちが知らないところでも、SNKの作品は着実に人々の心に残っているのだなあと…それは自身が就業する企業としてたいへん誇らしく、嬉しいことだと感じています。私もそんなファンの一人でしたし、40年という歴史の重みを改めて感じています。
　学生時代にハマったゲームにはとても思い入れがあり、初代サムライスピリッツやKOF ’94～’95など、どれも夢中になってプレイしたタイトルです。敢えてひとつ、ナンバーワンを選ぶとしたら、やはり餓狼伝説シリーズじゃないかと思います。はじめて購入したネオジオROMは餓狼伝説2でしたし（テリーがめちゃくちゃスマートでカッコよくなっていて驚きました）、餓狼伝説スペシャルは友達数人と集まって夜通しプレイした思い出があります。入社後に配属されたのが餓狼チームだったのも驚きとともに最高に嬉しかったですし、チームの中でいろいろ勉強させていただいた経験はいまだに自身の中でかけがえのないものになっています。

思い出せば、面白い開発秘話も沢山あります。
私にとってのSNKは、青春を送った時代そのものでもあります。

　餓狼チーム時代の開発秘話も多いですよ。今では考えられないことですが、20年前の開発では泊り込みが当たり前みたいなところがあって、ピーク時には業者さんからリースされた布団が何組も用意されていました。 そういったこともあり、旧開発ビルでは、夜中に開発しているといろいろ「出る」といううわさがいくつも広がって、怪談話にはこと欠かなかったですね。非常階段からいるはずのない子供の声や足音がしたり、ひとり残って作業していると、うしろで人が覗き込んでいる気配がしたり・・・といった話をよく聞かされました。 そんな中、デバッグ時期などは二交代で24時間回すようなこともやっていましたが、深夜の作業は独特の空気が楽しくて、個人的には好きな時間でした。
　これまで描かせてもらった中で好きなキャラをあげるとしたら…なかなか難しいですね。基本的に悪人キャラを描いているときはノリノリなことが多いですが、やっぱりテリーは好きですし、覇王丸なんかも描いていて楽しいです。KOFキャラでは怒チームが好きですね。獅子王とかタムタム、ライデン、グラントといった一風変わったマスクキャラも魅力的だと思います。 逆に描くのが難しいのは庵でしょうか…誰が描いてもすぐわかる特徴的な髪型のキャラクターなんですが、バランスをとるのが難しくってボリューム感をいい感じにおさめるのにいつも苦労している気がします。
　最後に、長い期間にわたってSNKを支えてくださってありがとうございます。 これからも、ご期待に沿えるような、より魅力的な作品をお届けできるようにがんばりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。