第2部 第1章
時空の穴
 セクレト |
報告いたします。 新たな『時空の穴』が出現しました。 |
|---|---|
 不動老師 |
む……異世界から様々な格闘家や剣術家を招き入れた、 あの不可思議な穴か。 |
不動老師 |
今度はどんな客人が現れたのだ？ |
セクレト |
出現したのは怪人です。 それも、観測史上最大レベルの強さを持つ個体です。 |
不動老師 |
最大レベルだと……!? |
不動老師 |
だが待て、時空の穴が招き寄せるのは、 異世界の存在だけではないのか？ |
セクレト |
推測。時空の穴は、強い力を持つ存在を、 無差別に引き寄せているものと考えられます。 |
不動老師 |
ぬう……。 どうすれば穴の出現を止められる？ |
 カイザーフェニックス |
大きな流れを堰き止めるのは難しかろう。 |
不動老師 |
君は千本くん……？ いったいどういう意味だね？ |
カイザーフェニックス |
時空の穴の出現は、ただの予兆にすぎませぬ。 これから始まる大きな戦いの……。 |
カイザーフェニックス |
結果次第では、世の在り方すら様変わりするじゃろう。 |
不動老師 |
ふむ……？ 儂らにできることはあるのかね？ |
カイザーフェニックス |
世の変わり目はいつも同じ。 若者たちに託すこととなりましょうな。 |
不動老師 |
では、儂はここで見ているしかないということかね？ |
カイザーフェニックス |
いいえ、不動学園長。あなたもまだまだ若造のうち。 存分に活躍してもらいましょうぞ。 |
| ・ | |
| ・ | |
| ・ | |
 酉原剛 |
よっしゃー！ 愛知県に到着したぜー！ |
 皆野祐樹 |
酉原くん、いつになくテンションが高いね。 |
酉原剛 |
天むす！きしめん！えびふりゃー！ 名古屋めしは美味いもんが多いからな！ |
 村雨礼司 |
着いた早々、食べ物の話はよせ。 俺たちは任務で来てるんだぞ。 |
酉原剛 |
もちろん忘れてねーが、 俺様は一刻も早く名古屋めしが食いたい。 |
酉原剛 |
ということで、さっさと任務終わらせちまおうぜ！ |
 ウサタロー |
やる気があるのはいいことだな。 それじゃ出発するか！ |
 森沢江湖 |
あれ？ 光ちゃんがいないよ？ |
森沢江湖 |
さっきまでそこにいたのに……。 どこ行ったのかな？ |
 名雲光 |
呼んだ？ |
森沢江湖 |
あ、光ちゃん、探してたんだよ。 ……って、その両手いっぱいの味噌は何……？ |
名雲光 |
愛知県名物、赤味噌。 ウチ、目がないんだよね～。 |
酉原剛 |
ずり～な～、自分だけ買い物してきたのかよ！ だったら俺様も買い物に……。 |
村雨礼司 |
行くな！ もう任務は始まってるんだぞ！ |
酉原剛 |
今回の怪人はどんなやつなんだ？ |
|---|---|
森沢江湖 |
えっとね、金鯱みたいな怪人らしいよ。 |
酉原剛 |
名古屋城のてっぺんについてるやつか。 そいつは探しやすそうでいいな！ |
ウサタロー |
許せねぇ……！ |
皆野祐樹 |
ウサタロー？ なんか怒ってる？ |
ウサタロー |
観光スポットそっくりの姿で悪さするなんて、 オイラ、許せねぇ！ |
ウサタロー |
そんなことしたら、 観光地のイメージダウンになるじゃねーか！ |
ウサタロー |
地元の観光協会のみなさんが、すげー困るだろ！ |
皆野祐樹 |
まあ、確かに……。 |
森沢江湖 |
名古屋の人たちのためにも、 早く怪人さんをやっつけないとだね！ |
村雨礼司 |
セクレト、怪人の情報はあるのか？ |
セクレト |
イエス。 怪人は現在、名古屋市庁舎を占拠中です。 |
村雨礼司 |
市庁舎を占拠……？ 妙なことをする怪人だな。 |
酉原剛 |
本当だぜ！ 金鯱なら名古屋城を占拠しろよな！ |
皆野祐樹 |
どっちも占拠しちゃダメだと思うな～。 |
名雲光 |
んで、市庁舎なんかでなにしてんの？ 住民票の登録とかしてたりして？ |
セクレト |
仲間の怪人を募っているとのことです。 |
名雲光 |
あちゃ～、組織化しようとしてるってこと？ 超メンドいんですけど。 |
村雨礼司 |
組織化される前に叩くしかないな。 |
皆野祐樹 |
よし、みんな急ごう！ 怪人が集まる前に倒すんだ！ |
セクレト |
お待ちください。 |
セクレト |
先行して市庁舎に向かったヒーローが、 怪人に負けたとの情報が入っています。 |
皆野祐樹 |
ええっ！ 誰がやられちゃったの!? |
セクレト |
現在判明しているのは、 カンフーマスターとデスティニーローズの二人です。 |
セクレト |
怪人に戦いを挑んだものの、 一瞬でやられてしまっています。 |
皆野祐樹 |
あの二人が一瞬で負けるなんて！ もしかして、すごく強い怪人なんじゃ……？ |
セクレト |
怪人の実力は未知数です。 慎重に行動することを推奨いたします。 |
ウサタロー |
無闇に突っ込まねーほうがよさそうだな。 ここは慎重に進もうぜ！ |
皆野祐樹 |
みんな、勝手な行動しちゃダメだよ！ 絶対だからね！ |
名雲光 |
みなのん、それフリなんですけど？ |
皆野祐樹 |
僕たちだけで大丈夫なのかな……。 もっと応援呼んだほうがいいと思わない？ |
|---|---|
酉原剛 |
弱音はよくねーな、祐樹。 |
酉原剛 |
気合いだ！気合いを入れろ祐樹！ こういうのはだいたい気合いでなんとかなるからよ！ |
皆野祐樹 |
限度があるんじゃないかなぁ。 |
酉原剛 |
足りない分は、肉で補え！ |
ウサタロー |
金鯱怪人がどれくらい強いかわかんねーけど、 安心しろよ、皆野。 |
ウサタロー |
今回は心強い仲間がいるって噂だからな。 |
皆野祐樹 |
他にも誰か来てるんだ？ |
ウサタロー |
なんとスピードスターが来てるって噂だ！ |
皆野祐樹 |
へ？ スピードスター……？ |
酉原剛 |
おいおい、マジかよ。 スピードスターって、あのスピードスターか？ |
森沢江湖 |
すっごいね！ あのスピードスターが来てるんだ！ |
名雲光 |
でもそれ、本当なん？ ちょっと信じらんないんですけど。 |
皆野祐樹 |
えっと……スピードスターって誰？ 学園にそんなヒーローいたっけ？ |
ウサタロー |
スピードスターは学園のヒーローじゃないぜ。 |
村雨礼司 |
神出鬼没の謎のヒーローだ。 その実力は、現役ヒーロー最強とも言われている。 |
森沢江湖 |
あとね、すっごい速いの。 スピードは断トツで一番なんだよ。 |
名雲光 |
アクアマリンっていう相棒がいるんだって。 そっちも学園のヒーローじゃないんだけど。 |
酉原剛 |
スピードスターといえば、 ベストバウトは怪人デスダイヤモンド戦だぜ！ |
村雨礼司 |
不動老師ですら引き分けた怪人を一瞬で倒したという、 あの伝説の一戦か……。 |
皆野祐樹 |
なんかすごいヒーローなんだね！ そんな人がいるなんて、全然知らなかったよ。 |
村雨礼司 |
とにかく謎の多いヒーローでな。 公的な記録が何一つないんだ。 |
皆野祐樹 |
その人、本当に存在してるの!? |
名雲光 |
してるしてる。 目撃情報はけっこうたくさんあるんよね。 |
森沢江湖 |
私も会ったことあるよ。 |
酉原剛 |
俺様はまだ会ったことがねーんだよな。 へへ、願わくば一戦交えてみたいもんだぜ！ |
皆野祐樹 |
そんなすごいヒーローが一緒に戦ってくれるなら、 心強いね。 |
ウサタロー |
そのとおりだぜ！ 大船に乗ったつもりで行こうじゃねーか！ |
皆野祐樹 |
そんなに強いなら、 スピードスターも学園に入ってくれたらいいのに。 |
|---|---|
ウサタロー |
不動老師も興味はもってるみたいだけどな。 なにせ神出鬼没だから、スカウトするのも大変なんだ。 |
村雨礼司 |
いや、あいつはやめたほうがいい。 |
ウサタロー |
なんでだ？ |
村雨礼司 |
あいつは協調性がない。 仲間にしても苦労させられるだけだぞ。 |
名雲光 |
ウケる。 それをイケメンが言っちゃうわけ？ |
酉原剛 |
あのな、礼司……。 俺様たちもけっこう苦労させられてるんだぜ？ |
村雨礼司 |
悪かったな！ というか、おまえたちこそ他人事みたいに言うな！ |
皆野祐樹 |
あはは……。 それじゃ、相棒のアクアマリンは？ |
森沢江湖 |
アクアマリンもね、神出鬼没だよ。 |
森沢江湖 |
スピードスターと一緒に現れるから、 相棒だって言われてるけど本当のことはわかんないの。 |
森沢江湖 |
やっぱり公的な記録は一つもないしね。 スピードスターと同じくらい謎のヒーローなんだよ。 |
皆野祐樹 |
そうなんだ。 |
酉原剛 |
アクアマリンって、引退したんじゃなかったか？ |
名雲光 |
あったわー、そんな噂。 |
名雲光 |
でもネットの目撃情報だと、 それ以降も活動してるっぽいんよね。 |
皆野祐樹 |
話聞いてるだけだと、やっぱり都市伝説みたい……。 |
村雨礼司 |
俺は会ったことがあるから、安心しろ。 |
村雨礼司 |
アクアマリンはスピードスター同様、 相当の実力者なのは確かだ。 |
村雨礼司 |
特に防御面の技術がすごい。 現役で一番硬いヒーローなんて言われることもあるな。 |
森沢江湖 |
あとね、すっごい可愛いんだよ。 アイドルさんかなと思っちゃうくらい。 |
皆野祐樹 |
へ、へ～……そうなんだ。 |
酉原剛 |
マジか。 俺様も会ってみてーな。 |
ウサタロー |
スピードスターと一緒なら、 アクアマリンも名古屋に来てるんじゃねーか？ |
皆野祐樹 |
うん、会えるといいな。 |
酉原剛 |
俺様もちょっと楽しみだ。 |
名雲光 |
おい、男子共。 鼻の下伸びてんぞ。 |
酉原剛 |
は、はぁー!? なんのことかわかんねーんですけどー！ |
皆野祐樹 |
手下怪人の数、すごく多いね！ |
|---|---|
酉原剛 |
全然進めねーな。 いつになったら市庁舎にたどりつけるんだ？ |
皆野祐樹 |
やっぱり、怪人が集まってきてるからなのかな……？ |
村雨礼司 |
おそらくだが、それはないと思う。 |
村雨礼司 |
すでに怪人が集まってるなら、 もっと手下怪人の種類が増えてるはずだ。 |
酉原剛 |
確かに、そういう感じじゃねーな。 |
名雲光 |
ん～、もしかしたら怪人にドン引きされてるのかも？ |
名雲光 |
金鯱怪人、ガネゴールドっていうらしいんだけど、 ＳＮＳで仲間募ってんのね。 |
皆野祐樹 |
怪人がＳＮＳやるんだ！ |
名雲光 |
そりゃやるでしょ。 怪人だって人間なんだし。 |
ウサタロー |
ガネゴールドは、ＳＮＳでなんて言ってんだ？ |
名雲光 |
これ見てみ。 |
 ガネゴールド （ＳＮＳ） |
おみゃーたち、よく聞け！ ワシは未来から来た怪人だがね！ |
ガネゴールド （ＳＮＳ） |
ワシは未来のことをよーく知っとる。 未来はな、でら荒廃しとるのだがや！ |
ガネゴールド （ＳＮＳ） |
おみゃーたち、ワシの手下になれ。 一緒に荒廃した未来を生き抜いていくがやー！ |
ウサタロー |
え、ええ……。 |
酉原剛 |
すげーな、未来人かよ。 |
村雨礼司 |
すまん、解説してくれ。 ……これはいったいなんなんだ？ |
名雲光 |
ウチに聞かれてもなぁ。 |
名雲光 |
ま、ネットの反応もだいたいイケメンと一緒かな。 コイツなに言ってんのって感じ。 |
皆野祐樹 |
これは確かに、ちょっと引いちゃうかも。 怪人が集まらないのも納得だよ。 |
酉原剛 |
こいつの仲間になりたいとは、 これっぽっちも思わないもんな。 |
名雲光 |
共感のしようもないしね。 |
森沢江湖 |
ガネゴールドさんね、きっと疲れてるんだと思う。 |
森沢江湖 |
私のヒーリング能力で癒してあげれば、 正気に戻るんじゃないかな？ |
名雲光 |
エコちゃん、マジ天使だわ。 めっちゃ優しい顔してるんですけど。 |
村雨礼司 |
もういい。 深く考えるのはよそう。 |
村雨礼司 |
いつもどおり、怪人をぶっ倒す。 ……それでいいじゃないか。 |
皆野祐樹 |
村雨くんが、酉原くんみたいなこと言い出してる……。 |
皆野祐樹 |
未来が荒廃してるって、どういうことなんだろう？ |
|---|---|
酉原剛 |
おいおい、そんなこと気にしてどーすんだよ。 まさか怪人の話、信じちまってんのか？ |
皆野祐樹 |
そういうわけじゃないんだけどさ。 |
皆野祐樹 |
なんていうのかな……。 映画の予告編見ると、先が気になったりしない？ |
森沢江湖 |
あ、ちょっとわかるかも。 |
名雲光 |
そんなみなのんに朗報だよ。 |
名雲光 |
なんとガネゴールドは、 未来の情報をＰＤＦで公開してんだよね！ |
村雨礼司 |
無駄に手が込んでるな！ |
名雲光 |
ほい。 これがそのＰＤＦファイルだよ。 |
皆野祐樹 |
えーと、なになに……。 |
ガネゴールド （ＳＮＳ） |
未来の世界では、 ヒーローと怪人の争いが激化してるがね！ |
ガネゴールド （ＳＮＳ） |
戦いの余波で都市が破壊され、産業も壊滅。 世界経済は滅茶苦茶になってしまってるのだがや！ |
ガネゴールド （ＳＮＳ） |
ワシがこの時代に来たのは、 荒廃した未来に備えるためだがね！ |
ガネゴールド （ＳＮＳ） |
まずは名古屋を要塞都市化して水と食料を確保！ 百年戦える体制を整えるがね！ |
ガネゴールド （ＳＮＳ） |
それから世界経済の混乱に乗じて、日本を占拠！ 名古屋を首都とした怪人国家を築き上げるのだがや！ |
皆野祐樹 |
あはは、なるほどな～。 未来の日本を支配するためっていうのが怪人っぽいね。 |
村雨礼司 |
世紀末モノっぽいな……。 |
名雲光 |
トリ頭とか、モヒカンヘアでヒャッハー！してそう。 |
酉原剛 |
俺様、悪役かよ!? |
セクレト |
ガネゴールドのＰＤＦファイルには、 具体的な年表や計画も記されています。 |
セクレト |
どうやらガネゴールドの語る未来は２０年後。 そう遠いものではないようです。 |
森沢江湖 |
２０年って、すぐそこじゃない？ |
森沢江湖 |
未来っていうから百年後とか千年後とか、 もっと先の時代かと思ったのに。 |
名雲光 |
そだね。 「未来」っていうには、なんていうか中途半端？ |
皆野祐樹 |
…………。 |
ウサタロー |
皆野、どうかしたのか？ |
皆野祐樹 |
う～ん……なんていうか、妙に具体的だなと思って。 |
皆野祐樹 |
もっと荒唐無稽な設定かと思ってたんだけど、 意外と現実に即してるっていうか……。 |
村雨礼司 |
これのどこが現実的なんだ。 たった２０年で世界経済が崩壊するものか！ |
皆野祐樹 |
あはは、それもそうか。 ヒーローがいるのにこんな未来になるわけないよね！ |
名雲光 |
ていうか２０年後って、ウチら普通に生きてるよね。 |
|---|---|
森沢江湖 |
そうだね～。 私たち、どんなふうになってるんだろう？ |
皆野祐樹 |
う～ん、全然想像つかないな。 多分、超人能力はなくなってるよね？ |
村雨礼司 |
そうだろうな。 一般的には２０歳を過ぎると失われていくという。 |
村雨礼司 |
おそらくはどこかの会社に就職して、 普通に暮らしているんだろう。 |
森沢江湖 |
結婚なんかもしちゃってたり？ |
名雲光 |
イヒヒ。 ウチとイケメンで幸せな家庭築いちゃってるかもね？ |
村雨礼司 |
ないな。 そんな未来は絶対訪れない。 |
名雲光 |
いやいや、未来はわかんないっしょ～。 |
酉原剛 |
俺様の将来は、リングの王者だ！ チャンピオンベルトを巻いて、輝きまくりだぜ！ |
名雲光 |
いや、トリ頭はモヒカンヘアでヒャッハーだから。 荒廃した未来にプロレスなんてないでしょ。 |
酉原剛 |
なんで俺様だけ荒廃した未来なんだよ！ |
村雨礼司 |
未来の話はさておき、だ。 |
村雨礼司 |
セクレト、このガネゴールドという怪人について、 情報を集めてくれ。 |
村雨礼司 |
こいつが本当はなにがしたいのか、 多少はわかるかもしれん。 |
セクレト |
申し訳ありません。 ガネゴールドの情報は、ゼロです。 |
村雨礼司 |
なに……？ |
セクレト |
事件以前のガネゴールドに関する情報が、 なにも見つからないのです。 |
ウサタロー |
セクレトが何の情報も見つけられないなんて、 珍しいじゃねーか。 |
セクレト |
これは極めて異例です。 個人情報すら見つからないとは……。 |
皆野祐樹 |
実は外国人とか？ |
セクレト |
世界中の個人データを精査済みです。 ガネゴールドの痕跡は、世界のどこにも存在しません。 |
森沢江湖 |
ガネゴールドさん、本当に未来人だったりして？ |
セクレト |
ポジティブ。そう考えれば理屈は通ります。 可能性は否定できません。 |
村雨礼司 |
そんなわけないだろ。 スーパーＡＩが非現実的な結論を出すな！ |
ガネゴールド |
おみゃーたち、面白い話しとるがね！ |
|---|---|
酉原剛 |
うおっ、怪人が現れやがった！ もしかして、あいつがガネゴールドか？ |
ガネゴールド |
いかにも。 ワシが未来からの使者、ガネゴールドだがや！ |
ガネゴールド |
おみゃーたち、ワシの個人情報探してるようだが、 無駄だがね。 |
ガネゴールド |
なぜならワシは未来人！ この時代、ワシはまだ生まれとらんがね！ |
セクレト |
なるほど、理屈は通ります。 |
村雨礼司 |
未来の話はもういい！ そんな下らない議論に時間をかけるつもりはない！ |
村雨礼司 |
相手が何者であろうが、 俺のやるべきことに変わりはない。 |
村雨礼司 |
おまえはこの俺、ストライカーが倒す！ |
ガネゴールド |
ス、ストライカー!? おみゃーがあのストライカーがや!? |
村雨礼司 |
あ、ああ……そうだが？ なんだその反応は？ |
ガネゴールド |
こいつは参ったがね。 まさか、いきなり大物ヒーローと出くわすとは。 |
ウサタロー |
大物ヒーロー？ストライカーが？ |
酉原剛 |
おいおい、いつの間にそんな有名になったんだよ。 |
村雨礼司 |
俺に聞かれてもな……。 別のヒーローと勘違いしてるんじゃないか？ |
ガネゴールド |
勘違いちゃうと思うけど。 |
ガネゴールド |
ちなみに、隣のマスクマン。 おみゃーの名前、エンゲルマスクとちゃうがね？ |
酉原剛 |
ふっ、そのとおりだ！ どうやら俺様の名も知れ渡っているようだな！ |
ガネゴールド |
あちゃ～、予感的中！ おみゃーたち、あの伝説のヒーローチームだがね！ |
森沢江湖 |
伝説のヒーローチーム？ 私たちが……？ |
ガネゴールド |
そうだがや。 おみゃーたち、未来じゃ超有名だがね。 |
森沢江湖 |
未来の私たちに会ったことあるの？ |
ガネゴールド |
いや、おみゃーたちとっくに引退しとったし、 ワシは会っとらん。 |
ガネゴールド |
けどな、でら強い伝説のヒーローチームとして、 おみゃーたちの名前は語り継がれとるん。 |
酉原剛 |
いや～、さすが俺様だぜ～。 伝説として語り継がれちまうのか～。 |
村雨礼司 |
ガネゴールドが本当に未来人ならな。 |
酉原剛 |
ガネゴールドは未来人だ。 間違いないぜ！ |
名雲光 |
さすがトリ頭。 あんな話信じちゃうとか、マジウケるんですけど。 |
村雨礼司 |
くっ……ふざけた怪人だが、 実力は本物みたいだな。 |
|---|---|
皆野祐樹 |
カンフーマスターたちを倒しただけのことはあるね。 すごい強いよ。 |
ガネゴールド |
ワシ、そういうお世辞は好かんなぁ。 |
皆野祐樹 |
お世辞……？ |
ガネゴールド |
おみゃーたちが本気でないことはわかっとる。 軽い準備運動のつもりか？ |
ガネゴールド |
やけどな、ワシかて真剣がね。 遊ばれるのは不本意だがや。 |
酉原剛 |
俺様はいつでも全力勝負だぜ！ |
ガネゴールド |
おお怖。 そんなん真に受けるほど馬鹿じゃないがね。 |
ガネゴールド |
ここは一旦退いとこか。 態勢を立て直させてもらうがや！ |
村雨礼司 |
ま、待て！ |
森沢江湖 |
どうしたんだろ。 いきなり逃げてっちゃった！ |
酉原剛 |
へっ、俺様の隠された実力を恐れたんだろ。 |
ウサタロー |
全力勝負じゃなかったのか？ |
酉原剛 |
……全力だったぜ。 |
酉原剛 |
真面目な話、すげー強かったぜ、あの怪人。 なんで逃げ出したんだ？ |
森沢江湖 |
そうだよね……。 なんていうか、今までの怪人とは全然違ったよ。 |
森沢江湖 |
大人と子供の差っていうのかな。 全然勝てる気がしなかった。 |
名雲光 |
勝手に逃げてくれて、マジ助かったわ。 |
村雨礼司 |
あいつは、俺たちが手を抜いていると言った。 俺たちが本気なら、あいつは勝てないと。 |
村雨礼司 |
だが実際には逆だ。 |
村雨礼司 |
俺たちを警戒してか、あいつは本気じゃなかった。 あいつが本気を出していたら、俺たちは……。 |
皆野祐樹 |
やっぱり、僕たちだけじゃ勝てないよ。 応援を呼ばないと……。 |
森沢江湖 |
それじゃ、スピードスターを探そう！ スピードスターの力を借りられれば、きっと……！ |
名雲光 |
セクレト、スピードスターの目撃情報は？ |
セクレト |
複数の目撃情報が見つかりました。 |
名雲光 |
これだけ情報が集まればいけるっしょ。 |
名雲光 |
目撃情報の場所と時間から、 スピードスターの居場所を割り出すよ！ |
ウサタロー |
よっしゃ！ それじゃスピードスターとご対面といこうぜ！ |
名雲光 |
いたいた、あの二人だよ。 |
|---|---|
 スピードスター |
おまえたちは……ヒーロー学園の生徒か？ |
皆野祐樹 |
あ、はい。 僕はライオンハートって言います。 |
皆野祐樹 |
初めまして、スピードスターさん！ |
スピードスター |
…………。 |
酉原剛 |
んで、こっちがアクアマリンか。 確かに、スゲー可愛いな！ |
 アクアマリン |
アクアマリン？ そんな人は知りませんけど？ |
酉原剛 |
えーと……？ おい光、人違いじゃねーのか？ |
名雲光 |
んなわけねーし。 この二人がスピードスターとアクアマリンだから。 |
スピードスター |
俺たちのことは気にしないでくれ。 |
皆野祐樹 |
な、なんかすごい話しかけづらいね……。 |
アクアマリン |
気に障ったならごめんなさい。 それより、私たちになにか用があるのでは？ |
ウサタロー |
力を貸してほしいんだ。 おまえたちもガネゴールドを倒しに来たんだろ？ |
皆野祐樹 |
僕たちだけじゃ倒せないかもしれないんだ。 ヒーロー同士、協力できないかな。 |
スピードスター |
やつを知っているのか……。 |
スピードスター |
そのことなら、安心しろ。 ガネゴールドは俺たちが倒す。 |
名雲光 |
おー、心強いじゃん。 さすが現役最強。 |
アクアマリン |
力を誇示するつもりはありませんが、 やるべきことはやるつもりです。 |
アクアマリン |
それで、やつは今どこにいるんですか？ |
森沢江湖 |
どこかに逃げてっちゃったの。 |
スピードスター |
取り逃がしたのか？ ……いや、やつとやりあうよりは、そのほうが……。 |
スピードスター |
とにかく、困ったな。 どうにかしてガネゴールドを見つけださなくては。 |
村雨礼司 |
逃げていった方向ならわかるぞ。 おまえの足なら、すぐ追いつけるんじゃないのか？ |
スピードスター |
直線なら追いつけるがな。 |
スピードスター |
相手の行き先がわからなければ、 足が速かろうが遅かろうが、結局同じさ。 |
村雨礼司 |
それもそうか。 |
スピードスター |
これ以上被害が出る前に、 早くやつを倒さなくては……。 |
アクアマリン |
焦らなくても、まだ時間はあるわ。 じっくり探しましょう。 |
スピードスター |
そうだな。 俺たちの手で、必ずガネゴールドを仕留めよう。 |
スピードスター |
それじゃ、これで。 後のことは俺たちに任せてくれ。 |
|---|---|
酉原剛 |
おいおい、二人だけでガネゴールドと戦う気か？ |
スピードスター |
最初からそのつもりだったが？ |
ウサタロー |
待て、そいつは無謀だぜ。 ガネゴールドを今までの怪人と同じだと思うな。 |
皆野祐樹 |
みんなで力を合わせたほうがいいと思うな。 僕たちと一緒に戦おうよ。 |
スピードスター |
ガネゴールドの実力はわかっている。 だから俺たち二人だけで戦うと言っているんだ。 |
皆野祐樹 |
え……それってどういう意味？ |
スピードスター |
おまえたちではやつには勝てない。 悪いことは言わないから、このまま帰るんだ。 |
酉原剛 |
ふざけやがって！ 現役最強だかなんだか知らねーが、俺様をなめるなよ！ |
スピードスター |
なめてなどいるものか。 |
酉原剛 |
だったら俺様も一緒に戦わせろ！ |
スピードスター |
……わかった。 そこまで言うなら、手を組もう。 |
スピードスター |
おまえたちは手下怪人の相手を頼む。 それくらいなら問題ないはずだ。 |
酉原剛 |
ムキーッ、いい加減にしやがれ！ 今すぐ俺様と勝負しろー！ |
皆野祐樹 |
うわわわ！ 抑えて、酉原くん！ |
酉原剛 |
止めてくれるな、祐樹ー！ |
アクアマリン |
スピードスターも、やめてください。 |
アクアマリン |
失礼なことばかり言って、すみませんでした。 どうか許してください。 |
酉原剛 |
ぐぬぬ……。 なんでアクアマリンが謝るんだよ。 |
アクアマリン |
私は彼のパートナーですから。 |
アクアマリン |
でもどうかわかってあげてください。 彼は、みなさんのことが心配なんです。 |
スピードスター |
ガネゴールドは普通の怪人じゃない。 おまえたちではまず勝てないだろう。 |
スピードスター |
だが、俺たちなら勝てる。 だから二人だけで戦うと言っているんだ。 |
村雨礼司 |
どう普通じゃない？ 俺たちじゃ勝てないと、なぜ言い切れる？ |
スピードスター |
それに答える必要はない。 |
スピードスター |
とにかく、ここでお別れだ。 俺たちだけで行かせてもらうぞ！ |
森沢江湖 |
あ～、行っちゃった！ |
名雲光 |
んで、どうする？ 言われたとおり帰っちゃう？ |
村雨礼司 |
そんなわけあるか！ 俺たちもやつを追うぞ！ |
名雲光 |
ですよね～。 |
酉原剛 |
チキショー！見失ったー！ |
|---|---|
皆野祐樹 |
さすがはヒーロー最速だね……。 あんなに早く走れるなんてすごいよ。 |
ウサタロー |
しかもアクアマリン連れてな。 |
森沢江湖 |
ごめんね～……。 私の足が遅いから……。 |
名雲光 |
そういう次元の速さじゃなかったから安心し。 あんなの金メダリストでも追いつけないっしょ。 |
ウサタロー |
これはもう諦めるしかねーな。 |
村雨礼司 |
……くそ、俺は諦める気はないぞ。 |
村雨礼司 |
あんな失礼なこと言われて黙っていられるか。 必ず追いついて、一言文句を言ってやる！ |
酉原剛 |
珍しく気が合うじゃねーか、礼司！ 絶対に俺様の強さをあいつにわからせてやるぜ！ |
名雲光 |
ちょっとちょっと。 あんま熱くなんないでよね、男子共。 |
名雲光 |
一緒に走るウチらの身にもなってほしーわ。 エコちゃんバテちゃってんですけど。 |
森沢江湖 |
だ、だいじょぶ……。 私まだまだ走れるから……。 |
名雲光 |
いいから休みな。 |
森沢江湖 |
ふにゃあ。 |
皆野祐樹 |
……なにか事情があるんじゃないかな。 |
ウサタロー |
なんの話だ？ |
皆野祐樹 |
スピードスターさんとアクアマリンさんのことだよ。 二人の頑なな態度には、理由があるんだと思う。 |
酉原剛 |
ただ単に性格が悪いだけじゃねーか？ |
皆野祐樹 |
ヒーロー同士の協力を断わる理由にはならないと思う。 |
皆野祐樹 |
それにアクアマリンさんは、 僕たちのことが心配なんだって言ってたでしょ？ |
村雨礼司 |
本気で心配していたとでも言いたいのか？ 皆野がそう信じる根拠はなんだ？ |
皆野祐樹 |
……スピードスターさんがさ、 ガネゴールドは普通じゃないって言ってたよね。 |
皆野祐樹 |
でもガネゴールドのことは、 セクレトが調べても何もわからなかった。 |
皆野祐樹 |
それなのに、どうしてスピードスターさんは ガネゴールドの情報を持ってるんだろう？ |
ウサタロー |
そういえばそうだ！ あいつら、ガネゴールドのこと知ってるっぽかったぞ！ |
ウサタロー |
すげーじゃねーか、よく気付いたな！ |
皆野祐樹 |
えへへ。 |
村雨礼司 |
あの二人も謎だらけ。ガネゴールドも謎だらけ。 だがやつらの間には、何かがある……か。 |
名雲光 |
ヤバ。 なんだか怪しくなってきたんですけど。 |
不動老師 |
……なるほどな。 それで儂に連絡してきたのか。 |
|---|---|
皆野祐樹 |
スピードスターたちやガネゴールドのことを、 もう一度ちゃんと調べてみたいんです。 |
名雲光 |
けど、セクレトでもわかんないっていうしね～。 |
村雨礼司 |
やつらのことを知っている人物がいるとすれば、 やはり不動老師なのではないかと。 |
不動老師 |
確かに、あの少年とは何度も巡りあった。 手強い怪人たちとの戦いの中でな。 |
不動老師 |
しかしスピードスターか……。 まさか、あの少年が再び現れようとは。 |
名雲光 |
なんか意味ありげな言い方なんですけど？ |
不動老師 |
ああ、すまん。 深い意味はないのだ。 |
不動老師 |
ただ、なんとなくな……。 あの少年とは二度と会えない気がしていたのだ。 |
セクレト |
スピードスターはある限られた期間にのみ現れ、 数々の怪人を倒して功績を上げました。 |
セクレト |
しかし怪人デスダイヤモンドとの戦いを最後に、 その姿は目撃されなくなっています。 |
皆野祐樹 |
不動老師が苦戦した怪人だったっけ？ |
不動老師 |
うむ、いかにも。 |
不動老師 |
あの少年は、なにか大切な使命のために戦っていた。 儂にはそのように見えたのだ。 |
不動老師 |
その彼が、デスダイヤモンドを倒したとき、 なにかを成し遂げたような表情を見せたのだ。 |
不動老師 |
それを見たとき、儂は思ったのだ。 彼は使命を果たし、このまま去るのだろう……と。 |
名雲光 |
でも、また現れたじゃん？ 不動老師の思い込みじゃね？ |
皆野祐樹 |
デスダイヤモンドとガネゴールドに 共通点があったとは考えられないかな？ |
皆野祐樹 |
不動老師でも倒せないくらい、 デスダイヤモンドも強かったんでしょ？ |
ウサタロー |
どちらも特殊な怪人だったってことか。 ありえるな！ |
不動老師 |
だとすれば、あの少年はまた使命のために 戦っているということになるな……。 |
不動老師 |
彼のような人間は、使命を優先するあまり 自分の命を軽く扱うことが多い。 |
不動老師 |
できることなら、儂から直接教えを 授けてやりたいところなのだが……。 |
不動老師 |
どうか儂のかわりに、彼を気にかけてやってほしい。 |
皆野祐樹 |
はい、任せてください！ |
酉原剛 |
んで、結局のところスピードスターは何者なんだ？ |
|---|---|
皆野祐樹 |
えーと……。 どういう人なんだろう……。 |
森沢江湖 |
不動老師の話を聞いても、 肝心のことはなにもわからなかったね。 |
名雲光 |
もう一回聞いてみる？ |
村雨礼司 |
知っていれば、教えてくれていたはずだ。 不動老師も詳しいことは知らないんだろう。 |
森沢江湖 |
謎は深まるばかりだね～。 |
セクレト |
スピードスターとアクアマリンについて、 調べる方法があります。 |
酉原剛 |
あるなら最初から教えろよ！ |
セクレト |
極めて効率が悪い方法なので、黙っていました。 |
セクレト |
インターネット上には、 あの二人に関する噂が山のように存在しています。 |
セクレト |
その噂の真偽を一つ一つ確かめていけば、 なにかしらの新情報は得られるかもしれません。 |
名雲光 |
うわー、想像しただけで気が遠くなる。 どんだけ時間かかるんだか。 |
村雨礼司 |
現実的ではないな……。 |
皆野祐樹 |
やっぱり、あの二人のことを知りたかったら、 方法は一つしかないんじゃないかな。 |
皆野祐樹 |
二人に直接話を聞くしかないよ。 |
酉原剛 |
直接か……。 あいつらが素直に話してくれるとは思えねーけどな。 |
森沢江湖 |
私は祐樹くんに賛成かな。 そうだとしても、やっぱり本人に聞くのが一番だよ。 |
名雲光 |
どこに転がってるかわからない情報探すよりは、 確かに確実かな。 |
酉原剛 |
そうだな……要は喋らせればいいわけだしな。 |
皆野祐樹 |
穏便にいこうね！ 無理やり聞き出すのはダメだよ！ |
酉原剛 |
おう、わかってるぜ。 じっくり語りあえばいいんだろ。 |
村雨礼司 |
語り合う手段は一つじゃないしな。 |
森沢江湖 |
二人とも、すっごく悪い顔してるよ！ |
皆野祐樹 |
あの二人と、ちゃんと仲良くなろう。 |
皆野祐樹 |
僕たちは仲間なんだとわかってもらって、 それでちゃんと話を聞かせてもらうんだ。 |
ウサタロー |
よく言った、皆野！ |
ウサタロー |
オイラたちは敵同士じゃねーんだ。 ちゃんと味方同士、手と手を取りあおうじゃねーか！ |
ウサタロー |
このあたりの手下怪人は片付いたな！ それじゃスピードスターたちを追おうぜ！ |
|---|---|
酉原剛 |
あいつら、どこ行ったんだろうな？ |
名雲光 |
探すのはそんなに難しくないよ。 ネット探せば、いくらでも目撃情報はあるからね。 |
セクレト |
目撃情報を収集。 時系列に沿って表示します。 |
皆野祐樹 |
うわ、すごいいっぱい写真が上がってる！ |
名雲光 |
それだけあの二人の人気がすごいってことでしょ。 探すのがトリ頭だったら、こうはいかないよね。 |
酉原剛 |
俺様のファンはまだまだ少ないかもしれないが、 ファンの質だったら負けてねーぜ！ |
名雲光 |
なんて言ってるうちに、情報収集完了っと。 この情報を、地図に重ねるよ。 |
名雲光 |
えーっと、二人が今いる場所は……？ |
名雲光 |
って、なんかすごい勢いで移動してんですけど!? |
森沢江湖 |
スピードスターさん、 あの速度で動き回ってるみたいだね。 |
酉原剛 |
おいおい、どうするんだこれ。 俺様たちの足じゃ、絶対追いつけねーぜ？ |
村雨礼司 |
俺たちを避けてるのか……？ とにかく、追跡は諦めるしかないな。 |
酉原剛 |
諦めちまうのかよ、礼司!? |
村雨礼司 |
追跡を諦めるだけだ。 |
村雨礼司 |
スピードスターの足がどれだけ速くても、 行き先はわかっているんだ。 |
村雨礼司 |
だったら俺たちは、そこで待っていればいい。 |
酉原剛 |
スピードスターの行き先ってーと……？ |
ウサタロー |
ガネゴールドのところだな！ |
村雨礼司 |
そういうことだ。 やつの目的はガネゴールドを倒すことなんだからな。 |
名雲光 |
ガネゴールドは、市庁舎に戻ったみたいよ。 |
皆野祐樹 |
それじゃみんな、ガネゴールドのところに向かおう！ |
森沢江湖 |
あんまり無理しちゃダメだよ。 気をつけて進もうね！ |
酉原剛 |
でりゃー！ |
|---|---|
 手下怪人 |
だがや～！ |
酉原剛 |
よし、手下怪人は倒したな。 |
酉原剛 |
そこのおまえ、大丈夫か？ 怪我はしてねーな？ |
 名古屋市民 |
あ、ありがとう。 助かったよ、エンゲルマスク。 |
酉原剛 |
なに、いいってことよ。 ヒーローとして当然のことをしたまでさ！ |
名古屋市民 |
まさか、こんなところで怪人に襲われるなんて、 思いもしなかったよ。 |
皆野祐樹 |
このあたりは今、怪人がいて危ないんだ。 どこに行こうとしてたの？ |
名古屋市民 |
市庁舎さ。 今、あそこに面白いやつがいるんだ。 |
森沢江湖 |
それってもしかして……。 なんだかすごく嫌な予感がするんだけど。 |
名古屋市民 |
それがさ、自称未来人なんだよ。 どんなやつなのか、動画に収めてやろうと思って。 |
森沢江湖 |
やっぱり、ガネゴールドさんのことだ～！ |
酉原剛 |
待て、そいつに近付くのはよせ。 |
酉原剛 |
確かに面白いこと言ってるかもしれねーけど、 それすげー危険なやつだからな！ |
皆野祐樹 |
その未来人は怪人なんだ。 だから市庁舎に近付かないでほしいな！ |
名古屋市民 |
な、なんだって！ 怪人は未来人だったのか!? |
皆野祐樹 |
えーと、ややこしいから割愛で。 とにかく、市庁舎にいるのは怪人なんだ。 |
名古屋市民 |
だから手下怪人がいたのか……。 わかった、おとなしく家に帰るよ。 |
森沢江湖 |
気をつけて帰ってね～。 |
ウサタロー |
やれやれ、市庁舎に向かう途中で 思わぬ珍客に出くわしちまったな。 |
ウサタロー |
素直に従ってくれたからよかったけどよ。 これ、ヤバくねーか？ |
村雨礼司 |
ああいうやつが、一人だけとは思えないな……。 |
森沢江湖 |
市庁舎行く前に、ちょっと見回った方がいいかも？ |
皆野祐樹 |
そうだね。 周辺の安全を確保してから、市庁舎に向かおう！ |
ウサタロー |
ようやく市庁舎に到着したな。 |
|---|---|
森沢江湖 |
思ったよりいたねー。 興味本位で集まってきた人たち……。 |
ウサタロー |
誰も本気にしてなかったのが、なんともな……。 なんにせよ、怪我人が出る前に追い返せてよかったぜ。 |
名雲光 |
そりゃ誰も信じないでしょ、未来人の話なんてさ。 |
名古屋市民 |
ガネゴールド様、お助けくださいー！ |
名雲光 |
ん……？ なに、この声？ |
名古屋市民 |
私たちをお救いください～！ |
名古屋市民 |
世界の終末に、光を～！ |
森沢江湖 |
あれ見て！ 市庁舎のロビーにたくさん人が集まってるよ！ |
手下怪人 |
安心するだがや。 ガネゴールド様は名古屋の救世主がね。 |
手下怪人 |
信じるものは救われる。 みんなガネゴールド様の手下になるがね。 |
名古屋市民 |
はは～っ！ |
ウサタロー |
なんだありゃ～!? なんか大変なことになってるぞ！ |
森沢江湖 |
もしかしてあの人たち、 ガネゴールドさんの話信じちゃったの？ |
村雨礼司 |
こいつは驚いたな。 未来人の話を信じるやつがこんなにいるとは……。 |
手下怪人 |
む……ヒーローが現れたがね。 |
手下怪人 |
みんな、やつらを止めるがね。 やつらはガネゴールド様の邪魔をする悪いやつらがね！ |
酉原剛 |
ふざけんな！ ヒーローが悪いやつのわけねーだろ！ |
森沢江湖 |
どうしよう。 みんな私たちのほう睨みつけてるよ……？ |
酉原剛 |
おい、しっかりしろよ！ みんな目を覚ませ！ |
村雨礼司 |
何を信じるかは人それぞれだ。 そこに何かを言うつもりはない。 |
村雨礼司 |
だが、俺たちの邪魔をしようというのなら……！ |
ウサタロー |
やめろ村雨！ 一般人に手を出しちゃダメだ！ |
村雨礼司 |
くそっ……！ だったら、まずは手下怪人を片付けるぞ！ |
名雲光 |
手下怪人倒したあとが大変そうだけどね～。 |
皆野祐樹 |
でも、どうにかしなくちゃ！ これ以上騒ぎを大きくするわけにはいかないよ！ |
酉原剛 |
うおりゃああああっ！ |
|---|---|
手下怪人 |
やられたがね～！ |
酉原剛 |
これ以上ややこしくなるのはごめんだ！ このまま一気に突き進もうぜ！ |
ウサタロー |
モタモタしてたら、また一般人が来ちまう！ みんな、酉原に続くんだ！ |
手下怪人 |
行かせないがね！ |
酉原剛 |
いいや、行かせてもらうぜ！ この程度で俺様を止められると思うなよ！ |
皆野祐樹 |
うわわ、どんどん市庁舎のオフィスが散らかってく。 |
名雲光 |
後片付け大変そ～。 公務員の人たち、マジ同情するわ。 |
森沢江湖 |
他人事みたいに言ってるけど、 多分、私たちもお手伝いすることになると思うよ。 |
皆野祐樹 |
怪人に壊された設備の復旧作業も、 ヒーローの大切な仕事の一つだからね。 |
森沢江湖 |
そうなんだよね。 だから、あんまり散らかしたくないんだけどな。 |
酉原剛 |
でりゃああああっ！ |
森沢江湖 |
だからね、酉原くん。 あんまり散らかさないでほしいな～！ |
酉原剛 |
でもよ、どうせあとで片付けるなら、 ちょっと散らかすのも思いきり散らかすのも一緒だろ。 |
森沢江湖 |
そうかもしれないけど～！ |
手下怪人 |
油断は禁物だがね～！ |
村雨礼司 |
てやぁ！ |
村雨礼司 |
森沢の気持ちはわかる。 できることなら俺もスマートにいきたい。 |
村雨礼司 |
だが、俺たちがそのつもりでも、 怪人にその気がなければ意味がない。 |
村雨礼司 |
散らかるものは散らかる。 そう割り切っていくしかあるまい。 |
森沢江湖 |
うう……怪人さんもどうせ暴れるなら、 外で暴れてくれたらいいのに。 |
酉原剛 |
いいじゃねーか。 俺様、後片付けは嫌いじゃないぜ。 |
酉原剛 |
メシ食ったら、使った食器は洗うだろ。 それと似たようなもんじゃねーか？ |
森沢江湖 |
私も、後片付けが嫌なわけじゃないけどさ。 |
森沢江湖 |
だからって、わざわざ自分から物壊すこと ないと思うんだけど……。 |
名雲光 |
ウチはもう単純に嫌だわ。 掃除とか、超めんどいじゃん？ |
村雨礼司 |
それは諦めろ。 |
皆野祐樹 |
一階には、ガネゴールドいないみたいだね。 |
|---|---|
ウサタロー |
それじゃ次の階だ！ そこの階段から二階に上がろうぜ！ |
手下怪人 |
ちょっと待つがや！ |
手下怪人 |
俺は、ガネゴールド様イチバンの手下！ ここから先には一歩も進ませないがね！ |
酉原剛 |
他の手下怪人と見分けがつかねーな。 |
手下怪人 |
なんて失礼な。 手下怪人にもちゃんと個性はあるがね！ |
村雨礼司 |
個性なんてどうでもいい。 邪魔をするなら、蹴散らすだけだ。 |
手下怪人 |
ちょっと待つがね！ |
手下怪人 |
まったく、この時代の若者は 血の気が多くていかんがね。 |
手下怪人 |
よく聞け、ヒーロー共。 ガネゴールド様は確かに怪人だが、敵じゃないがね。 |
手下怪人 |
ガネゴールド様の目的は、滅びゆく未来の救済！ 世界を救うことにあるがね。 |
手下怪人 |
おみゃーたちもヒーローなら、 世界を守るためガネゴールド様に協力すべきだがや！ |
名雲光 |
ウケる。 未来の予言なんて信じるわけないっつの。 |
手下怪人 |
ガネゴールド様のお言葉は真実だがや！ おみゃーたち、世界が滅んでもいいがね？ |
村雨礼司 |
俺たちはヒーローだ。 世界を守るために戦っている！ |
手下怪人 |
世界を守るため……か。 やはり目的は一致しているようだがね。 |
手下怪人 |
それじゃ、おみゃーたちも仲間ということでええか？ |
村雨礼司 |
いいわけあるか。 俺たちはガネゴールドを倒しに来たんだ。 |
手下怪人 |
えええ？ それはおかしいがね。 |
手下怪人 |
ガネゴールド様の目的は世界を守ることがね。 おみゃーたちは世界を破壊したいんか？ |
皆野祐樹 |
えーと、僕たちは世界を守りたいわけだけど、 ガネゴールドの仲間になりたいわけじゃないんだよ。 |
手下怪人 |
世界を守りたいってことは我々は同志だがや。 争う理由なんてどこにもないがね。 |
皆野祐樹 |
えーと……。 でも名古屋を要塞都市化されるのは困るな。 |
手下怪人 |
万が一の備えだがや。 備えあれば憂いなし、誰も困らんがね。 |
ウサタロー |
なんかややこしいこと言い始めたぞ。 |
村雨礼司 |
ええい、世迷言はたくさんだ！ |
村雨礼司 |
とにかく、俺たちはガネゴールドを撃破する！ 言いたいことはそれだけだ！ |
手下怪人 |
ひええ～、乱暴な若者だがや！ |
ウサタロー |
見ろよ、ここが市長室みたいだぜ！ |
|---|---|
村雨礼司 |
中から人の気配がする。 どうやらガネゴールドがいるのは、この部屋のようだ。 |
酉原剛 |
よっしゃー！ ついに対決のときが来たぜー！ |
皆野祐樹 |
ちょっと待って、酉原くん！ このまま突っ込んじゃダメだよ！ |
酉原剛 |
なんでだよ、目の前にいるんだぜ。 待つ理由なんてどこにもねーだろ！ |
名雲光 |
待つ理由あるから。 ウチらがなにしようとしてたか、忘れたわけ？ |
酉原剛 |
なんだっけ？ |
皆野祐樹 |
僕たちだけじゃ勝つの難しそうだから、 スピードスターさんたちと会おうって話したよね？ |
酉原剛 |
ああ……そんな話もあったな。 |
酉原剛 |
だが、ここまでの戦いで確信したぜ。 今の俺様たちの実力なら、やつに勝てる！ |
森沢江湖 |
そうかなぁ……？ |
酉原剛 |
やってみなくちゃわからねーだろ！ |
名雲光 |
いや、一回やってみたから、 スピスタと会おうって話になったんですけど？ |
酉原剛 |
あんなやつに会う必要ねーぜ！ 礼司もそう思うだろ？ |
村雨礼司 |
やつに会いたくないという意味では同意だ。 |
村雨礼司 |
だが、どうだろうな……。 今の実力でガネゴールドに勝てるかどうか……。 |
酉原剛 |
なんだよ、煮え切らねーな。 |
ガネゴールド |
まったくだがや！ 来るのか来ないのか、はっきりするがね！ |
ウサタロー |
うわっ、ガネゴールドが出てきやがった！ 気付かれちまったか！ |
ガネゴールド |
たわけ！ 部屋の前で話しとったら聞こえるに決まっとるがね！ |
ガネゴールド |
それで、どうするがね？ やるのか！やらないのか！ |
ガネゴールド |
ワシのほうは準備万端だがや。 いつでもかかってくるがね！ |
酉原剛 |
こっちだっていつでもＯＫだ！ 今すぐ始めてくれてかまわねーぜ！ |
ガネゴールド |
そうか……！ そんじゃ、始めるがね！ |
皆野祐樹 |
ちょっと待ってよ、酉原くん！ それはまずいよ！ |
村雨礼司 |
だが、こうなってしまってはもう引き下がれないぞ。 ガネゴールドだって見逃してはくれまい。 |
ウサタロー |
仕方ねえ、このままやるしかねーな！ |
ウサタロー |
みんな、無理はするなよ！ なんとかスピードスターの到着まで頑張るんだ！ |
皆野祐樹 |
そうだね……。 覚悟を決めるしかないか！ |
ガネゴールド |
お互い、準備はできたようだがや。 では改めて、お手合わせ願うがね！ |
|---|---|
皆野祐樹 |
準備ができたとは言えないんだけどな～。 |
皆野祐樹 |
だけどこうなっちゃったら仕方がない。 もうやるしかないよね。 |
酉原剛 |
そういうことだ！ ということで、まずは俺様からいかせてもらうぜ！ |
ガネゴールド |
ちょい待ち。 |
酉原剛 |
おいおい、なんだよ。 今さら待ったは無しだろ！ |
ガネゴールド |
いいから、待つがね。 おみゃーたち、大事なこと忘れとるがね。 |
皆野祐樹 |
大事なこと……？ なんのことだろう？ |
ガネゴールド |
戦闘前には、まず名乗りを上げる。 これ、マナーだがや。 |
酉原剛 |
おう、確かに大事だな。 俺様としたことがうっかりしていたぜ。 |
村雨礼司 |
わざわざ止めてまで言うようなことか……？ |
ガネゴールド |
あのな～、ワシの覚悟のほども知らんと、 勘弁してほしいがね。 |
ガネゴールド |
ワシはな、これから命懸けで 伝説のヒーローチームと戦うのだがや。 |
ガネゴールド |
だから心残りのないようにしたいんがね。 |
ガネゴールド |
ワシは最期に、伝説のヒーローの名乗りを聞きたい。 怪人にふさわしい冥途の土産だがや！ |
森沢江湖 |
そっか、まだ私たちのこと本当に強いと思ってるんだ。 |
皆野祐樹 |
今さら本当のことなんて言いにくいし……。 なんか申し訳なってくるよ。 |
ガネゴールド |
ん、なんか言うたか？ |
森沢江湖 |
なんでもない！なんでもないよ！ |
酉原剛 |
よーし、話はよくわかった！ だったら俺様から名乗らせてもらうぜ！ |
酉原剛 |
俺様はエンゲルマスク！ いつでもリングでお相手するぜ！ |
村雨礼司 |
やれやれ……。 ストライカー、交戦する。 |
森沢江湖 |
ファーストエイド、援護しちゃうよ！ |
名雲光 |
そんじゃ、サイバーフォックスも頑張るわ。 |
皆野祐樹 |
ラ、ライオンハート、いきます！ |
ガネゴールド |
感無量だがや……。 恩に着るがね、伝説のヒーローチーム！ |
ガネゴールド |
ワシはガネゴールド！ 未来を救うため、名古屋を支配させてもらうがね！ |
ガネゴールド |
かかってこいヒーロー共！ 怪人の意地ってやつを見せてやるがね！ |
皆野祐樹 |
はぁーっ！ |
|---|---|
ガネゴールド |
生温いで、ライオンハート！ そんなもんじゃ儂は倒せんがね！ |
ガネゴールド |
そろそろわしの実力、認めてほしいがね。 準備運動は終わりにして本気出すがね！ |
皆野祐樹 |
さっきからずっと本気でやらせてもらってます……。 |
ガネゴールド |
だから、そういうのはいらんがね。 伝説のヒーローがこんなに弱いわけ……。 |
ガネゴールド |
…………。 |
ガネゴールド |
ああっ!? |
ガネゴールド |
もしかしておみゃーたち、 まだ伝説級の実力を身につけてないがね!? |
皆野祐樹 |
まあ、その、多分そうです。 |
酉原剛 |
気付いちまったか。 今の俺様たちはな、まだ修行の身なのさ。 |
村雨礼司 |
なにが伝説のヒーローだ。 そのふざけた未来設定、いつまで続けるつもりだ？ |
ガネゴールド |
ふざけてないがね。 これは真実の話だがや！ |
ガネゴールド |
だが、そうか……。 ここはおみゃーたちがまだ大成してない時代がね。 |
ガネゴールド |
命拾いをしたような、名残惜しいような……。 なんとも複雑な心境だがや。 |
森沢江湖 |
なんかすっごい覚悟させちゃったみたいなのに、 ごめんね？ |
ガネゴールド |
いや、かまわんがね。 伝説のヒーローの生名乗りを聞けて幸せだったがね。 |
ガネゴールド |
こっそり録音もさせてもらったがね。 一生の宝物だがや。 |
ガネゴールド |
しかし、残念だがや。 そうなると、おみゃーたちじゃワシは倒せんがね。 |
酉原剛 |
やってみねーとわかんねーだろ！ |
ガネゴールド |
実力差は明白だがや。 どうやら伝説のヒーローも、ここで終わりだがね。 |
森沢江湖 |
私たちの伝説、始まる前から終わっちゃうかも？ |
名雲光 |
ていうか、ここで負けたら、 伝説のヒーローになれなくね？ |
ガネゴールド |
確かにそのとおりがね。 今ここで、歴史が変わろうとしているがね。 |
ガネゴールド |
ワシの手で歴史を変える……。 それもまた一興だがや。 |
ウサタロー |
なに弱気なこと言ってんだ！ ここでおまえたちが勝てば、歴史どおりだろ！ |
ウサタロー |
気合いを入れろよ！ ガネゴールドに勝って、伝説のヒーローになるんだ！ |
皆野祐樹 |
もちろん、このまま負けるつもりはないよ。 なにかないのか、ガネゴールドに勝つ方法は……！ |
村雨礼司 |
ぐわぁーっ！ |
|---|---|
ガネゴールド |
やはり実力差は明白。 おみゃーたちではワシには勝てないがね。 |
村雨礼司 |
く、くそ……。 このままやられるわけには……！ |
ガネゴールド |
残念だが、これでおしまいだがねー！ |
 シャークボード |
はあっ！ |
ガネゴールド |
むむっ、おみゃーたちは！ |
 レディ・グリム |
えいっ！ |
 アズキャット |
ニャン！ |
森沢江湖 |
シャークボードにレディ・グリム！ それにアズキャットも！ |
森沢江湖 |
みんな、応援に来てくれたの!? |
酉原剛 |
そうか、後ろは片付けてあるしな！ |
皆野祐樹 |
気をつけて！ そいつは今までの怪人とは違うんだ！ |
村雨礼司 |
これだけいれば、やれる……か？ |
ガネゴールド |
面白いがね！ まとめて相手をしてやるがねー！ |
ガネゴールド |
エビフリャ～ッ!! |
シャークボード |
グワーッ！ |
ガネゴールド |
天むすッ!! |
レディ・グリム |
うっ……！ |
ガネゴールド |
ひつまぶしぃっ!! |
アズキャット |
ギニャ～ッ!? |
森沢江湖 |
ああっ、みんな～！ |
酉原剛 |
ちくしょう、あっという間に あいつらを倒しちまいやがった！ |
村雨礼司 |
さっきよりも、さらにパワーが上がっている。 これがガネゴールドの本気なのか……！ |
ウサタロー |
俺たちが、ヒーロー学園が、 ここまで追いつめられるなんて！ |
村雨礼司 |
信じられん。しかも、こんな、 訳の分からないヤツに……！ |
名雲光 |
強いとは思ってたけど、ヤバすぎだわ。 もうスピスタ来るの、信じて待つしかなくね？ |
皆野祐樹 |
そんな時間はないよ！ やられたみんなを、早く助けてあげないと……！ |
ガネゴールド |
そうはさせないがね。 おみゃーたちには、ここで倒れてもらうがね。 |
皆野祐樹 |
僕がガネゴールドを止めるから！ だから森沢さん、早くみんなの治療を！ |
森沢江湖 |
うん、わかった！ 気をつけてね、祐樹くん！ |
ガネゴールド |
根性は大したもんがね。 けどな、それだけじゃワシには勝てないがね！ |
皆野祐樹 |
こんなところで倒れるわけにはいかないんだよ！ |
皆野祐樹 |
僕たちが！ヒーローが！ みんなの希望にならなくちゃいけないんだから！ |
ウサタロー |
これは感情爆発……！ 行け、おまえの本気を叩きつけてやれー！ |
皆野祐樹 |
燃えろライオンハート！ この一撃に、すべてを込めるんだー！ |
|---|---|
皆野祐樹 |
うおおおおおっ！ |
皆野祐樹 |
これでどうだ……！ |
ウサタロー |
や、やったぜ皆野ー！ あのすげー強い怪人に勝っちまいやがったー！ |
名雲光 |
マジすごすぎなんですけど。 みなのんのおかげで命拾いしたわ。 |
酉原剛 |
へっ、大したやつだぜ。 さすがは俺様のライバルだ！ |
村雨礼司 |
皆野、まさかここまで強くなっているとは……。 俺も負けるわけには……！ |
皆野祐樹 |
あはは、みんな無事でよかった……。 森沢さん、そっちはどう？ |
森沢江湖 |
大丈夫だよ。 みんな、意識を失っているけど傷は浅いよ！ |
皆野祐樹 |
よ、よかった……。 |
皆野祐樹 |
……ふう。 これでやっと、終わりかな。 |
村雨礼司 |
っ！ 気を抜くな皆野！後ろだ！ |
皆野祐樹 |
へ……？ |
ガネゴールド |
やれやれだがや。 この程度の攻撃で浮かれすぎだがね。 |
ウサタロー |
な、なんてやつだ！ 皆野の感情爆発を食らって立ち上がりやがった！ |
皆野祐樹 |
そんな……！ 傷一つついてないなんて……!? |
ガネゴールド |
あんなへなちょこ攻撃でワシを倒せるわけないがね。 |
ガネゴールド |
まさかあれで全力とはなぁ……。 おみゃーたち、本当に弱いんがね～。 |
ガネゴールド |
やけどな、やっとわかったわ。 ずっと妙だなーとは思っとったがや。 |
ガネゴールド |
おみゃーたち、コア無しだがね？ |
皆野祐樹 |
コア……ってなに？ |
ガネゴールド |
やっぱりな、コア知らんがね。 この時代だとまだ存在してないっちゅーことだがや。 |
村雨礼司 |
そのコアというのが、おまえの強さの秘密なのか？ |
ガネゴールド |
ほう、興味あるがね？ 知りたいがね？ |
ガネゴールド |
ガハハ、教えてやらんがね！ ここで死ぬおみゃーたちには関係のない話だがや！ |
名雲光 |
まあそーよね。 そんな簡単に秘密教えてくれるわけないわ。 |
皆野祐樹 |
くっ……！ |
ウサタロー |
怯むな、皆野！ おまえの攻撃はちゃんとガネゴールドに届いてたぜ！ |
ウサタロー |
もう一回、感情爆発だ！ 敵が倒れるまで、もっともっと高めるんだぜ！ |
皆野祐樹 |
わ、わかった……！ 極限まで燃え上れ、僕のライオンハート……！ |
皆野祐樹 |
うわあああああああああっ！ |
|---|---|
ガネゴールド |
ぬううう……っ！ |
皆野祐樹 |
はあ、はあ……今度こそ、やったか!? |
ガネゴールド |
やってないんがね～。 |
皆野祐樹 |
そ、そんな……！ 僕の全力が通じないなんて……！ |
ガネゴールド |
コア無しでそこまでパワー高められるのはすごいがね。 さすがは伝説のヒーロー、ライオンハートだがや。 |
ガネゴールド |
やけど、残念だがね。 真の伝説を見ずに倒さねばならんとは……。 |
皆野祐樹 |
ま、まだだ！ もっとハートを燃え上がらせれば……！ |
ガネゴールド |
無駄だと言っとるがね！ |
皆野祐樹 |
うわ～っ！ |
森沢江湖 |
しっかりして、祐樹くん！ |
ガネゴールド |
残念だがね、ヒーロー共。 おみゃーたちの頑張りも、ここでお終いだがや！ |
スピードスター |
それはどうかな。 |
アクアマリン |
ここからは、私たちが相手です。 |
森沢江湖 |
スピードスターさんとアクアマリンさん！ |
ガネゴールド |
おっと、まだイキのいいのがいたがね？ でも誰が来ても一緒だがや！ |
スピードスター |
試してみろ！ テヤーッ！ |
ガネゴールド |
ぐわああああ……っ！ こ、この一撃はまさか……!? |
村雨礼司 |
ガネゴールドを倒した！ これが現役最強、スピードスターの実力か……！ |
| ・ | |
| ・ | |
| ・ | |
名雲光 |
え、なにあれ？ 今まであんな消え方した怪人いたっけ？ |
スピードスター |
おい、おまえたち。 |
スピードスター |
なぜ俺の忠告を無視して、ガネゴールドと戦った？ おまえたちでは勝てないと伝えたはずだぞ！ |
酉原剛 |
う、うるせぇ！ これから逆転するところだったんだよ！ |
スピードスター |
いいや、絶対に勝てなかった！ |
スピードスター |
時空の穴に召喚されるほどの強敵を相手に、 『超変身』無しで挑むなんて、ただの自殺行為だ！ |
皆野祐樹 |
ち、超変身……？ |
アクアマリン |
そもそもこれは私たちの仕事であり、責任です。 みなさんが手を出す必要はありません。 |
スピードスター |
二度と俺たちの邪魔はするな。 いいな、絶対に忘れるなよ！ |
森沢江湖 |
行っちゃった！ 助けてもらったお礼したかったのに……。 |
ウサタロー |
あの二人、本当に何者なんだ？ すげー謎が増えちまったな。 |
村雨礼司 |
コアに超変身……。 俺たちの知らないことが、まだまだあるようだな。 |
皆野祐樹 |
それにスピードスターさんが言ってたこと……。 二人の責任って、いったいなんのことだろう？ |
酉原剛 |
考えたってわかりっこねーよ。 とにかく今は、帰るしかねーぜ。 |
皆野祐樹 |
うん、そうだね……。 |
皆野祐樹 |
もっと……。 もっと強くならないと……！ |
